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バナー紡がれし遺志は炎となりて.png





八章半_オリヴィアの夢.png

以前あった剣聖杯から、なし崩し的に乗員となっていたオリヴィア。
彼女は最近、妙な夢に悩まされていた。
森の中で、何者かにずっとみられている夢。呼びかけても一向に返事はなく、じっと監視し続けられる。
業を煮やし、何者かに臆病者と謗るオリヴィア。
すると、あっさりと監視者は姿を現す。臆病者はどっちかな?とオリヴィアをなじりながら。

夢から覚めたオリヴィアは、思わず呟く。
ようやく姿を見せたと思ったら、なんで、よりにもよって……




八章半_休眠状態.png

バジリスクを休眠状態に追い込んだものの、その再生能力を考えると長くはもちそうにない、とエヴァンジェリンは言う。
だが、魔剣使いのベルハルトにこれ以上の無茶はさせられない。これ以上魔剣を使い続けては命に関わる。
ここらで剣を置いてもいいだろう、と諭すアポロ。それに、同意するベルハルト。彼の身体は、想像以上にガタがきているらしい。
だが、現実問題としてバジリスクをどうにかしなければならない。
魔剣が有効な攻撃手段なのは間違いないが、魔剣グラムの継承者がすぐに見つかると考えるのは甘いだろう。




八章半_次の使い手.png

アポロは他に手がないわけではない、という。魔剣ではなく、聖剣。剣聖はもういないが、聖剣のある場所はわかっている。
剣聖がもういないという部分に反応するベルハルトだが、アポロはその話はまた改めて、と言葉を濁す。
聖剣も使い手がいなければ意味がないのでは、という問いに、次の使い手は既に決まっている、と返すアポロ。
その言葉に驚く一行。さらに聞けば、その人物はすでにネクサスに乗っている、と。
そして、アポロは話し出す。アポロがなぜ聖剣の在りかと次の継承者を知ってるのかを。




八章半_オリヴィア相談.png

治療師のマリアとトモエは、不足してきた医療物資の買い出しへ行くことに。
ホカゲの残党が残っている可能性もあるので、護衛をもう一人連れて行きたいという話に。
そんなところに、オリヴィアがやってくる。最近夢見が悪く、そういったものに効く薬はないか、と。
彼女の相談を受ける傍ら、買い出しの護衛をしてもらうことに。




八章半_エヴェリーナ登場.png

町に到着してしばらく進むと、突然大声でオリヴィアの名を叫びながら近づいて来る人物が。
その人物は、オリヴィアの姉エヴェリーナだった。偶然、東方へ来ていたらしい。
オリヴィアは微妙にエヴェリーナに苦手意識があるらしく、エヴェリーナと距離を置こうとする。
マリアとトモエは、積る話もあるだろうということで、エヴェリーナをネクサスへと連れて行くのだった。




八章半_出発前.png

聖剣を祀る神殿のある場所は、トコワ島。古くから人の出入りは禁止されているという。
聖剣があっても剣聖がいなくては意味ないんじゃない?と聞くアリシアに、手は打ってあると誤魔化すアポロ。
トコワ島には、司令官とアポロ、アリシア、エヴァンジェリンの四名で行くと告げると、アリシアは部屋に戻って準備を始める、と言い司令室を出て行った。
それを見送った後、主人公はアポロにきちんと説明するべきではないか、と言った。
真実を知ることが必ずしも幸せになるとは限らない、と言うアポロ。
だが主人公は、いつまでも隠し通せない、後から嘘だったと知ったほうがショックは大きく、このやり方には賛同できないと反対する。
アリシアに知らせるべき真実は、重い。自分の口から話した方がいい、と申し出る主人公。




八章半_エヴェリーナ招待.png

エヴェリーナはネクサスに乗り込み、他メンバーと親睦を深めていた。
だがオリヴィアの表情は複雑だった。
部屋に戻ろうとするオリヴィアに、ベルハルトが声をかけてくる。溜息なんてついてどうした、と。
ベルハルトは、オリヴィアの剣の才能を見抜いて目をかけていた。そして、もう一つの才能にも。
夢見が悪くて、というオリヴィアに、夜の森で誰かに見られている夢ではないか?と当てるベルハルト。
驚愕するオリヴィアに、ベルハルトは確信する。
どういうことかと聞いてくるオリヴィアに、そのうちわかると言って去っていくベルハルト。




八章半_アリシアの部屋.png

部屋でトコワ島に降りる準備を進めるアリシア。
そこに突然、声がかけられる。
全身甲冑姿の人物が、いつの間にか部屋の中に立っていた。
聖剣を求めるか?と聞いて来る甲冑姿の人物。
わけがわからず、何者かと聞くアリシアだが、甲冑姿の人物は質問を無視し、喋り続ける。
聖剣を求めるならば、覚悟を持つことだ。真実の重さに耐える覚悟を。その覚悟なくして、聖剣を手にすることはできない。
それだけ言い放つと、その姿はまるで霞のように消えてしまう。




八章半_勘違い.png

真実を知らせるべく、アリシアの部屋を訪れる。
が、いきなり飛び出してきたアリシアに巻き込まれて転倒する主人公とアポロ。
突然現れた甲冑姿の人物の話をするアリシアだが、話の途中で警報が。キッチンで火事が発生したという。
急ぎ向かう三人。だが、火は既に消し止められていた。火災の原因はエヴェリーナ。彼女は、どうも家事が致命的に下手らしい。
そんな中で、アリシアに大事な話があると言う主人公。
人の居ない場所で話したいというと、なにやら勘違いしたアリシアは早く出発しましょ、聖剣を手に入れるのが先決だと言って先に行ってしまう。




八章半_オリヴィアの夢2.png

オリヴィアは、再びあの夢を見ていた。
夢のエヴェリーナは言う。あなたを試すために、あなたが最も恐れているものに姿を変えたと。
自分は姉を恐れてなどいない。わけがわからないまま相手の目的を聞くオリヴィアだが、エヴェリーナはあなたにその気があるのならすぐにわかる、とはぐらかす。
そのまま夢から覚め、ため息をつく。




八章半_ライカと会話.png

部屋から出ると、ライカに出会う。だが、話の途中にオリヴィアは突然駆け出した。
夢の中で感じたあの視線を、今度は現実でも感じたのだ。
気配を追っていくと、ベルハルトの部屋に辿り着く。
この部屋に何が、と聞くオリヴィアに、もうわかってんだろ?と返すベルハルト。
あいつはお前を観察した。使い手になる素質があると判断した。だからお前を呼んでる、と。




八章半_トコワ島.png

トコワ島は、濃い霧に包まれていた。
司令官、アリシア、アポロ、エヴァンジェリンの四人はネクサスから降り立ち、歩を進める。
だが、これだけ霧が濃いと方向感覚が狂ってしまいそうだ。
その時ユノから通信が入るが、うまく聞き取れない。ノイズがひどくなり、やがて通信が途切れる。




八章半_イグニス登場.png

一度ネクサスへ戻ろうか、という話をしている時、一行に声がかかる。
無駄だ。既にお前たちはこちらの領域に足を踏み入れた。
我が名はイグニス。聖剣を守護する者。新たなる聖剣の継承者よ、その力を我に示してみせよ。
そう言い放つと、現れた人物は炎を呼び出し襲い掛かって来る。




八章半_考えておきます.png

お前にその気があるなら、魔剣グラムを手に取って見ろ、と言うベルハルト。
オリヴィアはガラじゃないと断ろうとするが、現状では魔剣を腐らせておく余裕はない。
考えておきます、と去っていくオリヴィア。
なぜ私が選ばれたのでしょうね、と昔なじみのライカに聞くオリヴィア。
オリヴィアが優れた剣士だから?と答えるライカに、優れた剣士は他にもたくさんいる、と言うオリヴィア。
このことは秘密に、とライカと言っておく。特にエヴェリーナは世話焼きで心配性だ。




八章半_そうだといいな.png

一方そのエヴェリーナは、ネクサスに乗り合わせていた魔法学院の後輩たちと歓談していた。
最初は明るい話題だったのだが、エヴェリーナの家の話題になると、その空気が重くなる。
姉妹の両親が気にしているのは、家の名声だけ。
魔法を研究することが目的になって、何のために魔法を研究していたのかさえ見失っている。そんな家で、幼い頃から魔法が上手く扱えなかったオリヴィアは……
そんな家だったから、オリヴィアが家を出ることになった時は寂しかった半面、ほっとした。これでようやく、自由になれるんだと。
不幸中の幸いは、エヴェリーナのような姉が居たことですね、と言う後輩だが、エヴェリーナの顔は冴えない。




八章半_ベルハルト酒盛り.png

食堂で酒を飲んでいるベルハルトを、オリヴィアが訪ねてくる。
参考までに、ベルハルトが魔剣使いになった時の話を聞きたい、と。
ベルハルトはあまり面白い話じゃねえぞ、と前置きした後で話し出す。
ベルハルトには師匠が居た。当時の騎士団長であり、魔剣グラムの使い手だった。
彼の訓練は厳しかったが、ベルハルトは確かな実力を身に着けることができた。
そして、貧しいベルハルトの実家へ私財を使って援助までしていたという。
立派な師匠ですね、というオリヴィアに同意するベルハルト。
だがベルハルトは、実力を過信してしまっていた。ある戦争の最中、無理矢理突出して孤立してしまう。
死を覚悟したその時、包囲網を破って助けに来たのは、師匠だった。
ベルハルトは無事に帰還するが、師匠はその時に受けた傷がもとで、死んでしまう。
その事件から、ベルハルトは剣を握れなくなる。
だがある時、師匠が夢に出て来て……ベルハルトは厳しく叱られた。内容はよく覚えていない。
目を覚ましてから、呼ばれているような気がして師匠の部屋へ向かうと、部屋の中には魔剣グラムがポツンと置かれていた。
ベルハルトはそれに手を伸ばし、剣と「対話」し、新しい魔剣の使い手となったのだ。




八章半_ベルハルト即答.png

その対話ってなんですかと聞くオリヴィアだが、試験みたいなものだからダメだと断られる。
オリヴィアは、もう一つ質問をする。魔剣使いになったこと、後悔したことはありますか、と。
その問いに、ねえよと即答するベルハルト。
寿命は少し縮んだかもしれないが、魔剣のおかげで救えた命が多くあった。師匠が生きていれば救えた命のほんの何割かかもしれないが……
それでも、自分なりに必死にやってきたつもりだ。今なら師匠も少しは認めてくれるだろうよ、と笑う。
あまり難しく考えるなよ、先のことは誰にもわからない。と、アドバイスするベルハルト。
だが、オリヴィアにはわかっていることもある。
もしもこの先、私が魔剣使いになって大勢の人を救ったとしても、あの人たちは絶対に私を認めない。




八章半_マジアリエナイ.png

一方ネクサス。
ツバキたちの報告によると、バジリスクの周囲の木が徐々に枯れ始めているらしい。
バジリスクが肉体を修復するため、大地に流れるエネルギーを吸収しているかも、と仮説を立てるメルクリウス。
休眠状態が解けるまで、あまり猶予はないのかもしれない。
だが、聖剣の捜索へ向かった司令官たちとの通信は途絶えたままだ。
捜索隊が二次遭難になる可能性もあり、迂闊に動けない状態が続く。




八章半_ベルハルトの部屋.png

再びベルハルトの部屋を訪れるオリヴィア。
聖剣捜索が難航し、バジリスクがいつ復活するかもわからない状況。迷っている場合ではない。
意を決して魔剣グラムに触れるオリヴィア。




八章_ライカとエヴェリーナ.png

部屋の外で待っていたライカのところに、エヴェリーナがやってくる。
オリヴィアを知らないか、と聞いて来るエヴェリーナ。
オリヴィアは昔から辛くても口には出さないで自分の中にため込んでしまう節がある。
再開してから何か様子がおかしい気がするので、悩みがあるなら聞いてあげたい、と。
ライカは心の中でオリヴィアに謝りつつ、オリヴィアの現状を知らせる。




八章半_対話開始.png

オリヴィアが意識を取り戻すと、そこは見覚えのある屋敷の廊下だった。
そして目の前に現れたのは、自分自身。
あなたが魔剣グラムですか、と問いかけるオリヴィアに、そうとも言えるしそうでないとも言える、と曖昧な返事を返してくる。
久々の実家はどうですか、と聞いて来る自分自身。どうせ本物ではないでしょう、と突っぱねる。
だが、庭にいる女の子を見た瞬間、顔が強張った。
可哀そうに、まだあんなに小さいのに、誰にも構ってもらえず1人ぼっちで……
今日は、年に一度の特別な日だっていうのに。




八章半_誕生日.png

さっさと本題に入れと怒るオリヴィアだが、相手は何を恐れているの?と笑みを浮かべる。
恐れていないのなら、続きを見ればいい。そう言う自分自身に、沈黙するオリヴィア。
昔の情景は進んでいく。
誕生日に何もしてくれない両親に代わってケーキもプレゼントも用意してくれて。美人で優しい、自慢の姉。




八章半_自分との対話.png

でも、あなたはそんな姉さんが嫌いだったんでしょう?
両親が見ているのはいつも姐さんだけ。落ちこぼれのあなたのことなんて見向きもしない。
動揺するオリヴィア。言葉を続ける自分とそっくりな姿をした誰か。
隠しても無駄です。知っているんですよ。姉さんの作ったケーキを食べて、プレゼントを受け取って、お誕生日の歌を聴きながら、心の中では……お前さえいなければ、って。




八章半_エヴェリーナとの対話.png

感情的に否定するオリヴィア。
だが情景は続く。幼いオリヴィアは、プレゼントの玩具を壊してしまう。
遊んでいる内に間違って壊しちゃったんですよね?姉さんにもそう説明した……ま、嘘ですけどね。
その言葉は、自分が普段から口癖のように使っている言葉。
あなたは嘘つきだから、姉さんにも嘘をついた。姉さんが傷つかないための、そして自分を誤魔化すための。

ついに、オリヴィアは激昂する。
一体何なんですか、さっきから!こんなの、魔剣使いと何の関係も……
だが相手は、いつの間にかエヴェリーナに姿を変えていた。
嘘つき、とオリヴィアを責めるエヴェリーナ。私のことを、ずっと憎んでいたのね、と。
違うと弁解するオリヴィアだが、その言葉に力はない。
エヴェリーナの言葉は、容赦なくオリヴィアの心を抉っていく。




八章半_お姉ちゃん.png

魔剣と「対話」を続けるオリヴィアを見守るベルハルト。
そこに、エヴェリーナとライカが踏み込んで来た。
大丈夫なのかと聞くエヴェリーナに、こればっかりは自分の力で乗り越えるしかない、とベルハルト。
エヴェリーナはオリヴィアに近づき、大丈夫、傍にいるからと声をかける。




八章半_オリヴィア自問.png

オリヴィアは、自問する。
姉さんが、憎かった。美人で優しくて魔法の才能もあって。自分にないものを全て持っている。
でも、姉さんだけが私を見てくれた。それが優越感から来る自己満足でないことはわかっていた。
だから、姉さんを嫌いにはなれなかった。
いや、違う。姉さんの優しさに甘えていただけだ。心の底では、姉さんを憎んでいるのに。
実家を出ることになった時は、心底ほっとした。ずっと怖かったのだ。
姉さんに、醜い私の本性を知られてしまうことが。
結局、私は逃げていただけ。臆病で嘘つきの卑怯者。それが私の本性。

その時、オリヴィアの両手を暖かい何かが包む。懐かしい感触。
私が辛いとき、こうやっていつも手を握ってくれた。




八章半_この世界で一番.png

オリヴィアは顔を上げ、目の前のエヴェリーナ、いや自分自身と向き合う。
……認めますよ。私は姉さんが憎かった。姉さんは何も悪くないって頭ではわかっていても止められなかった。
いっそ姉さんを嫌いになれば悩まずに済んだのかもしれないけど、結局嫌いにはなれなかった。
多分、この先もずっと、私が姉さんを嫌いになることはない。
あの時の辛さや苦しみを、簡単に忘れられるわけがない。姉さんに抱いた憎しみも、紛れもない自分の一部。
どうあがいても、それは変わらない。だから、逃げるのは終わりにする──姉さんからも、自分からも。
私はこの世界で一番、姉さんを憎んでいて……そして、この世界で一番、姉さんが好きなんです。

目の前の虚像が消える。そして声が聞こえてくる。
ようやく自分と向き合うことができたようだな、と。
それを聞き、オリヴィアは声の主が魔剣グラムであることを確信する。




草原.PNG

かつて我らはこの地に降り立ち、この地に住む人々と交流を持った。
そして、彼らを守るため、強い力を持つ守護獣を生み出した。
守護獣たちは命令に従い、この地に住む人々を様々な脅威から守って来た。
我らは守護者として多くの人々の信奉を集め、我らもそのことに満足していた。
だが、地上に永遠などない。我らの存在はこの世界に定着し、その肉体はゆっくり、確実に衰えていった。
強大な力を持つ守護獣は、やがて我らの制御を離れ、人もモンスターも見境なく襲うようになってしまった。
我らは力を結集し、守護獣たちと対峙した。しかし、彼らを倒す力は残されておらず、力を封じて眠らせるのが精一杯だった。
彼らに真の安息をもたらす役目は、後世の人々に託すほかない。
そして我らは来るべき日に備え、彼らを討つ刃となることを決めた。
もちろん、悪意はなかった。だが、防ぐことは出来たはずだ。自らの衰えから、我らは目を背けていた。
この地上で得た地位を、そして人々からの信奉を失うことを恐れ、我らは自身と向き合わなかった。
その結果、こうして後世にまで禍根を残すこととなった。
大きな力には責任が伴う。常に自らと向き合い、自らを戒めよ。さすれば、我はお前の力となる。




八章半_グラム宣誓.png

魔剣の成り立ちを聞いたオリヴィアは、軽口を叩く。本当にいいんですか、私で。嘘つきの臆病者ですけど。
それにグラムは応える。弱さは罪ではない。弱さに向き合わぬことこそが罪。その痛みに耐えて立ち上がることの出来る者は少ない。
我を携え戦ってきた者たちは、皆その痛みに耐えて勇敢に立ち上がった。……今のお前のように。

私が立ち上がれたのは姉さんのおかげ。だがグラムはそれもまた強さだと言う。

対話を終えたグラムは、最後の問いを投げかける。
我を携え、戦う意思はあるか?
オリヴィアは応える。今更ですね、ここに来た時点で答えは決まっています、と。
ひねくれ者の彼女らしい回答。
それに応じ、グラムはオリヴィアと共にあることを宣言する。




八章半_謝罪.png

目を覚ましたオリヴィアの目の前には、心配そうに見守るライカと、姉の姿があった。
オリヴィアは、姉に言う。姉さんに謝らないといけないことがある。
子供の頃にもらったプレゼントのこと。
だがエヴェリーナは知っていた。普通に遊んでいたらあんな壊れ方はしない。
そして、壊れたおもちゃを修理している間、オリヴィアは泣きそうな顔をしていたから。
だから、完全に嫌われているわけじゃない、まだ諦めなくていいかな、そう思ったのだ。
その上でエヴェリーナは言う。ありがとう、話してくれて、と。怒ってないからもう気にしなくていい、と。




八章半_魔剣使い.png

エヴェリーナが買って来てくれた服に着替え心機一転。
魔剣の負荷を心配するエヴェリーナだが、オリヴィアは大丈夫じゃないですか、と気楽に答える。
私一人で戦うわけじゃないですから。ここには頼りになる仲間も……それに姉さんもいますしね。




八章半_実力把握.png

一方、トコワ島。
イグニスは炎を纏った獣を呼び出し、こちらへ攻撃してくる。
エヴァンジェリンによると、眷属の幼精霊というものらしい。
アポロの援護によって幼精霊を次々と撃退していくアリシア。やがて、イグニスの勢いが止まる。
実力は把握した、とイグニスは言う。
アリシアは先ほどの言葉──聖剣の継承者とはどういう意味かと問いかける。
それに対しイグニスは、言葉通りの意味だ、聖剣を継承できる可能性があるのはお前だけ、と返す
疑問符を浮かべるアリシアに、やはり何も聞かされていないか、と呟くイグニス。
聖剣を手にする前にお前にはまだ知るべきことがある、とイグニスは言い放ち、アリシアに向けて何らかの魔法を発動した。すると、アリシアの姿は忽然と消えてしまう。
アリシアに何をした、とイグニスに詰め寄る主人公。
イグニスは、この島の別の場所へ移動させただけだと言う。聖剣を手にする資格を有していれば、「彼女」がそこまで導いてくれるだろう、と。
イグニスは、他の質問をしても答える気がないようだ。
だが、レヴァの眷属の分際で……というエヴァンジェリンの言葉に反応する。
エヴァンジェリンは、わらわは雷を司る、原始精霊ケイオンの眷属である、と高らかに言うが、イグニスは鼻で笑う。お前からそのような力は感じない、と。
どこで私のことを知ったかは知らないが、原始精霊の眷属を騙るなど不愉快極まりない。次に同じことをすれば同族といえど容赦はしない、と警告するイグニス。
結末を見届けるつもりなら進むがいい、と言ってイグニスは去ってしまう。
アリシアのことを放っておくわけにはいかない。主人公は、このまま進むと宣言する。




八章半_甲冑の人物.png

別の場所へ転移させられたアリシアの目の前に、以前に突然現れた全身甲冑の人物が姿を見せる。
真実を知る覚悟が出来たということか、との問いに、何のことかわからない、と返すアリシア。私たちは聖剣を取りにきただけだ、と。
それに対し、なぜ聖剣を求めるのか、と問いを重ねる。
バジリスクが復活したため倒すには聖剣が必要……だが君がバジリスクと戦わなければならない理由はないのではないか……戦える者は他にもいるだろう……戦える人がいるから戦わなくていいことにはならない?それが君の正義というわけか。
答えに質問を次々と被せられ、苛立つアリシア。こっちからも質問させてくれなきゃ不公平だ。
いいだろう、と言う目の前の人物にアリシアは気になっていたことを尋ねる。
3代目の剣聖は全身甲冑姿だと聞いている。もしかしてあなたがそうなのか、と。
だが、曖昧な返答しか返ってこない。どこか機械じみた返答に戸惑うアリシア。
本当に自分が聖剣の継承者なのか、と聞くアリシア。元はといえばどこにでもいる普通の村娘。
聖剣に選ばれるような人間だとはとても……

君は自分の何を知っているというのだ。親の名前も顔も知らないというのに。

返って来た言葉にアリシアは驚愕する。なぜそれを、と聞き返すアリシアだが、答えはない。
聖剣を継承する気はあるのか、と言ってくるだけだ。
しばし考えた後、アリシアは答える。本当にあたしが継承者なら、継承する気はある。聖剣の力があれば、もっとあいつの役に立てる。
その言葉を聞き、付いて来いと言って先に行ってしまう甲冑の人物。
納得のいかない表情で追いかけるアリシア。




八章半_聖剣の成り立ち.png

霧の中を進む主人公とアポロとエヴァンジェリン。
道すがら、聖剣レヴァンテインについて教えて欲しいとエヴァンジェリンに頼む主人公。
彼女によると、レヴァは彼女と同じ原始精霊ケイオンの眷属らしい。今は剣の姿をしており、火の元素を司っているという。
聖剣や魔剣は太古の精霊族が姿を変えたもの。
エヴァンジェリンは、レヴァが聖剣になった経緯をケイオンから聞いていたらしいが、なぜそこまでしたのか理解できなかったという。
他にも、精霊族の話を色々と聞く主人公。
精霊族は元来実体を持たず、実体化すると定着という現象が進む。少しずつ世界の枠組みに当てはめられ、容易に肉体を変化させることができなくなる。
高位の精霊であれば、定着が進んでも肉体の変化は理論上可能。聖剣や魔剣たちは、その定着が進んだ段階にも関わらず肉体を剣に変化させた……




八章半_九つの墓.png

甲冑姿の人物に付いていくアリシア。
立ち止まった場所には、9つの墓が建てられていた。だが、名前すら刻まれていない。
戦うためだけに生まれた戦士の墓だ、という。
戦う理由など何もなく、正義も誇りもなく、ただの道具と何ら変わりない、そんな戦士だと。
使者を悪く言うもんじゃないわ、というアリシアに、事実を述べているだけだと答える甲冑の人物。
そしてさきほどのように、次々と質問をぶつけてくる。
もし聖剣を手にし、バジリスクを倒したら、その後はどうするつもりだ?
魔導要塞を倒した後は? 君が従うその彼が、世界を滅ぼすと言ったら滅ぼすのか?
そんなことあり得ない、というアリシア。

それが妄信でないとなぜ言い切れる、妄信して戦うならばそれは道具と変わらない。
ここに眠る者たちと同じように。

私の何がわかるの、と激昂するアリシア。だが、目の前の人物はわかると言うと、その兜を脱ぐ。
私とあなたは、本質的には同じものだから。



八章半_素顔.png

兜の下から現れたのは、アリシアとまったく同じ顔だった。茫然とするアリシア。
この道をまっすぐ進めば聖剣の神殿が見えてくる、真実を知り聖剣を手にする覚悟があるなら進め……
そう言うと、彼女は消えてしまう。




八章半_真実を知る覚悟.png

聖剣の神殿に辿りつく主人公たち。
イグニスが姿を見せ、続いてアリシアも到着する。
真実を知る覚悟はできたか、と聞くイグニスに、もったいぶってないでさっさと話しなさい、と激するアリシア。
だがイグニスは、本来は私ではなくお前の隣に居る仲間たちから語られるべきもの、と言う。
お前はまた何も知らされぬまま利用されようとしていた。かつての同類たちとおなじように。
その言葉に、どういうこと?とアポロに問うアリシア。
アポロは歯切れ悪く、いつどのように伝えるべきか迷っていて利用しようとしたわけではない、と答える。
話の先を促すアリシアに、アポロは仕方なく話し始める。



荒野.png

アリシアは、普通の人間ではない。
魔族戦争の際、魔族相手に魔剣が有効であることを知った連合軍は、聖剣を扱える者を探していた。だが、どこを探しても見つからなかった。
連合軍は魔導要塞の設計者であるシンに相談を持ち掛け、一つの解決策を提示される。それは、人間を複製する技術によって聖剣を扱える者を増やすこと。
アリシアは、その技術によって生まれたクローン……初代剣聖アルテイアの複製だと。
連合軍は初代剣聖の墓を掘り起こしてDNAを採取し、クローンを生み出した。
そして生まれた赤子に成長促進剤を投与し、数か月で戦場に送り出したのだ。
だが、成長促進剤には大きな副作用……老化も恐ろしく速いという欠点があった。寿命はせいぜい半年。戦える期間は二か月にも満たないほど。
この問題を解決するため、連合軍は次々とクローンを作り出し、偽の記憶を植え付け、戦えなくなれば次のクローンと交代させた。これが、不明だった3代目剣聖の正体なのだ。

アリシアは先ほどの墓標を思い出す。つまり、あれは戦いの道具として使い捨てられた……



聖剣の神殿.png

アポロは話を進める。
アリシアは魔族戦争終戦間際に作られ、成長促進剤を投与されなかった10人目のクローン。
寿命は人並みにある、と言うアポロだが、イグニスはそれが何の慰めになる、人間のエゴで作られた複製であるという事実に変わりはない、と怒りを露わにする。
自分たちのために偉大な戦士の死後の尊厳を冒し、我が主をも利用した罪は、万死に値する、と。
アポロは慌てて、確かに許しがたい非道だが、ごく一部の人間によって決められたことだと反論する。
主人公の父はこの事実を知り、戦うかどうかは本人の意思に委ねられるべきと考えた。
だがイグニスは下らぬ言い訳と切り捨てた。
そしてアリシアに呼びかける。真実を知ってなお、聖剣の継承者となることを望むのか。この醜悪な世界に守る価値があるのか、と。
大人しく立ち去るのであれば危害は加えないと言うが、アリシアは理解が追い付かず、茫然と立ち尽くす。



八章半_一時撤退.png

立ち去らぬのであれば、力づくで退かせる。そう言って襲い掛かってくるイグニス。
アリシアを守るように、アポロとエヴァンジェリンが間に立つ。
エヴァンジェリンに促され、主人公はアリシアの手を引いてその場を離れた。



八章半_混乱.png

アリシアは完全に混乱していた。落ち着かせようとする主人公に、もしかして知ってたの?と聞くアリシア。
出立まえにアポロから聞かされていた、と答える。アリシアにも話そうとしたが、あの時はハプニングが重なってタイミングを逃してしまったのだ、と。
一度戻るかと聞くが、バジリスクはどうするの、と返される。確かに、聖剣を扱えるのはアリシアしかいない。
だが、聖剣を扱う資格があるからといって聖剣を手にする義務があるわけではない。
バジリスクについても、他の手を考えればいい。皆で考えれば、きっといい方法が見つかる。



八章半_即答.png

普段通りに受け答えをする主人公に、アリシアは思わず聞いてしまう。気持ち悪いと思わないの?と。
自分は普通の人間ではない。両親もいなくて、同じ顔をした人間が何人も作られている。
だが主人公はそのまま普段通り、いや全然、と軽い口調で返す。

もし、アリシアのことを知らない人間が聞けば、そう思う人もいるかもしれない。
だが、俺はずっと隣にいたのだ。笑ったり、泣いたり、喧嘩をしてみたり。
かけがえのない1分1秒を、ずっと共に過ごしてきたのだ。
そうして積み重ねてきたものの重さに比べれば、生まれなど些細なこと。
アリシアが誰を元に作られていようが、積み重ねてきたものが消えてしまうわけではない。
その程度の真実で、俺たちの絆が揺らぐことはない。少なくとも、俺はそう信じている。

アリシアの声に、少し元気だけ活気が戻る。
彼は、いつもそう。皆が悩んだり、苦しんだりしている時に、いつも光を示してくれる。
それが嬉しくて、少し悔しい。自分は、彼に何もしてあげられていないのに。

それは違う、と主人公は否定する。
隊長として、司令官として、進む道を決めた時はいつも不安だらけだった。
それでも道を指し示せるのは、アリシアや皆が隣にいてくれるからだ。
たとえ道が間違いで、大きな障害が立ち塞がっても、共に進めば乗り越えられる。そう信じているから。



八章_剣聖の言葉.png

アリシアは、先ほど3代目剣聖と交わした会話を思い出す。
何かに依存し、妄信して戦うならば、それはただの道具だと。
でも、目の前にいるひとは、共に進むと。いままでもそうだったように。そしてこれからも──



八章半_アリシアの決意.png

アリシアの瞳に力が戻る。いつもの、活発な幼馴染がそこにいる。
戦えるか、と声をかける。
もう大丈夫、急ぎましょう!
アリシアは、それに力強く応えてくれた。
二人は再び、聖剣が安置されている台座へと向かう。



八章半_苦戦.png

イグニスの力に苦戦するアポロとエヴェンジェリン。
聖剣の守護者を務めている間は、レヴァの力の一部を借り受けているのだろう、というエヴァンジェリン。
驚き、攻撃を止めるイグニス。まさか、本当にこの小娘が原始精霊の眷属なのか。
だがケイオンの眷属ならば、なぜ敵対する?同じ原始精霊を祖とする同族が、人間の醜悪な行いに利用されているのに憤りを感じないのか?
エヴァンジェリンはそれに、確かに人間は時に醜く愚か。レヴァも当然それはわかっている、と答える。
それでもレヴァは聖剣となってこの世界を守ろうと望んだ。わらわはその覚悟を尊重する。
眷属ならば、主の真の思いを汲むべき。声高に忠義を叫ぶだけが眷属の責務ではない。
その言葉に、納得のいかないという顔を浮かべるイグニス。
エヴァンジェリンはニヤリと笑い、言い放つ。
では自らの目で確かめるがよかろう、レヴァの選択が正しかったかどうかを。



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そこへ、アリシアが現れる。その瞳に、強い決意を宿して。



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その男がお前と聖剣の力を利用していることがわからぬか、と言うイグニスに、別にいいわよと答えるアリシア。
あたしは別に、あいつに何もかも委ねようなんて思ってない。ただ、同じ思いを共有しているだけ。
あいつの指示した先には、素晴らしい景色が広がってるって……あたしもそれが見たいから、一緒にここまで歩いてきた。
そして、それはこれからも変わらない。困難な道のりだったとしても、ずっと隣で一緒に歩いていく。

この世界が醜くても、残酷でも関係ない……って、少し前までは思ってた。
でも、もう関係ないとは言えない。この世界を守るために、全てをかけた人たちがいたってことを、知ってしまったから。
たった半年にも満たない、名前の無い人生だったかもしれないけど、それでもただ一生懸命に走り抜けた……
彼女たちが紡いできた意思は、あたしが背負う。彼女たちが哀れだったなんて、誰にも言わせない。
だから──応えて!

アリシアの声に呼応するように、聖剣が宙を舞い、彼女の手の中におさまる。
そして、次の瞬間──彼女の身体は、炎に包まれる。




草原.PNG

アリシアと3代目剣聖は、何処とも知れない世界で会話する。
アリシアが聖剣を持つことに、主人公の父──3代目剣聖の司令官だった男は、どう思うだろうか、と。
アリシアにとってはおじさん。両親の居ないアリシアの育ての親。
剣聖は言う。あの人から真実を聞いた時、私には戦いをやめる選択肢もあった、と。
彼は、戦い続けるかどうかは私自身が決めるべきだと言っていた。
そして、私は軍と交渉し、二つの条件と引き換えに戦い続けることを決めた。
1つは、真実を告げたあの人に危害を加えないこと。
もう一つは、既に作られてしまった10人目の私には成長促進剤を投与せず、普通の人間として育てること。



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だが、アリシアはここへ来てしまった。やはり私たちは普通には生きられないのかも、という3代目剣聖。
それにアリシアは、つい最近まで普通に生きてたわと笑う。
戦うのは運命とかじゃなくて、あたしがあたしの意思で決めたこと。
羨ましいわ、と剣聖。あなたの中には眩しいほどの輝きがある。
あなたは多くのものを見て、多くの人と出会って、その輝きを手に入れた。そしてこれからもっと多くのものを見て、もっと多くの人と出会う。
なら、一緒に見ればいい。アリシアはそう言い、手を差し出す。
あたしが背負う。聖剣に宿った皆の意思も、あたしが連れて行く。あたしを通して見て欲しい──
皆が守った、この世界を。




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炎が吹き払われ、アリシアが姿を現す。
新たな装いを身にまとい、聖剣を手にした彼女の横顔は、ある種の神々しさすら感じさせた。
イグニスは感情を露わにして問いかける。なぜ、これほど理不尽な目に遭いながら戦い続けられる、と。
直接教えてあげる。そう言って、大上段に構えた聖剣を振り下ろすアリシア。
聖剣は、眷属であるイグニスを消滅させることはせず、ただ無力化する。



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あなたには悪いけど、聖剣は持っていく。
そう言うアリシアに、イグニスは深く頭を下げた。
あなたの炎の輝きは、我が主に勝るとも劣らない。我が主の選択を疑った私が愚かだった、と。
そして、自分も旅に同行させて欲しいと申し出てくるイグニス。
味方になってくれるという人を無下にする理由はない、と受け入れる主人公。
イグニスは馬に姿を変え、アリシアの乗騎となって同行することに。

そこへ、ネクサスからの通信が。
聖剣を手に入れた一行は急ぎネクサスに戻り、バジリスクとの決戦に備えるのだった。




八章半_ツバキ指揮.png

一方、ヤマトのタカマガハラではツバキが陣頭指揮を執っていた。
オリヴィアが魔剣グラムを継承して魔剣使いとなり、トコワ島へ向かった司令官たちは無事に聖剣を手に入れた。
だが、バジリスクが休眠状態から回復しつつある。
司令官らが戻るまで、バジリスクを抑えておかなければならない。



八章半_後退.png

ヤマトに残ったネクサスの面々が、バジリスクを止めるために応戦する。
だが圧倒的な巨体に押されて徐々に後退せざるを得ない。
そこへ、ネクサスから直接飛び降りたアリシアが上空から奇襲。メンバーが後退する隙を作ることに成功。




バジリスク.png

まだ聖剣に不慣れなアリシアは、周囲を気にせず戦えるほうがいいと他メンバーを下がらせる。
そこへオリヴィアも到着し、二人は軽口を叩き合いながらバジリスクと交戦を開始。



八章半_剣聖と魔剣使い.png

バジリスクの猛攻を捌き、ダメージを与え続けるが、再生能力の高いバジリスク相手では決定打に欠ける。
仲間が援護に入ろうとするものの、迂闊に手出しをすれば巻き込まれる。



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膠着状態の戦場に、エヴァンジェリンは歯噛みする。
わらわに本来の力があれば、と。それに疑いの目を向ける精霊族たち。
エヴァンジェリンは真紅の雷帝を自称しているが、普段の言動は単なる我儘な妄想家。自業自得である。
彼女が原始精霊の眷属だとは、とても信じられないようだ。
エヴァンジェリンはどうせ見ているのだろうとケイオンに呼びかける。いい加減にわらわの力を返せと。



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当然なんの変化もなく、空に向かって虚しく叫び続けるエヴァンジェリン。だが、精霊族のポーは言う。
エヴァンジェリンさん、それではダメだと思います!
人に何かを頼むときはもっと丁寧な言葉遣いじゃないといけません。それに、エヴァンジェリンさんのお願いは1つ、決定的なものが欠けていました。
それは何かと聞き返すエヴァンジェリンに、ポーは自信満々に答える。ずばり…… 土 下 座 です!



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司令官に対して時折見せているあの見事な土下座なら、きっとお願いを聞いてもらえると思いますと言うポー。
それはあまりにも、と周りの精霊族たちは言うが、エヴァンジェリンの決断は早かった。
お願いします、ケイオン様!どうかわらわに力を返してください!
あまりにも見事な土下座に、感心するやら呆れるやらの面々。

だが、信じがたいことに、エヴァンジェリンの身体が輝く。なんと、昔の力を取り戻したのだ。土下座で。
意気揚々と援護に向かうエヴァンジェリン。慌てて後を追いかける精霊族たち。



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仲間たちが連携してバジリスクに隙を作り、エヴァンジェリンが雷の力で動きを封じる。
そのチャンスに、アリシアの聖剣が、オリヴィアの魔剣が光を放つ。
その一撃に、ついに崩れ落ちるバジリスク。

だが完全に消滅したわけではない。止めの一撃を振りかぶるアリシア。
その刃が、突然何者かに防がれる。



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現れたのは、不思議な雰囲気を纏う女性だった。
感謝します、聖剣と魔剣の継承者たちよ。ですが、あとは私に任せて頂けないでしょうか。
そして、名乗る。自分はエーリス。原始の精霊の一人だと。
ここまで弱っていれば再び私の力で制御下に置くことができる。もう決して暴走はさせない。
だから、この先は私に任せて欲しい、と一行に頼み込むエーリス。



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事情がわからず混乱する面々のところに、エリカがやってくる。彼女は精霊族と人間のハーフ。そしてエーリスは、彼女の母親だった。
エーリスはエリカに、遠くない内に大きな戦いが始まるかもしれない、もしもの時のためにできるだけ遠くへ避難しなさい、と諭す。
私とお父さんは大丈夫、必ず無事に帰りますから。
そう言って、エーリスは消えてしまう。バジリスクと共に。
事情はわからないが、エリカの母親なら悪いようにはしないだろう……そう考えて、ネクサスへ戻ることにする。




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戻ってきたオリヴィアに抱き着くエヴェリーナ。
彼女は、実家にはもどらずこのままネクサスの仲間になるという。
そっけなくエヴェリーナをあしらうオリヴィアだが、その表情は冷たいものではなかった。
それを見守るライカは、一歩前進かな、とひとりごちる。



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アリシアと主人公は、司令室で久々にゆったりと話をしていた。
この先のことをどう考えているか聞くアリシア。
主人公は、正直に迷っていると告げる。
魔導要塞の脅威に対抗するために仲間を集めてきたが、規模が大きくなりすぎた。
魔導要塞という脅威が去った後、世間が我々をどう見るか……
仲間の中には名の知れた実力者や王族までいる。そして剣聖と魔剣士も。
自分たちを敵視する者、利用しようとする者、善悪様々な思惑が交錯することになるだろう。いや、すでに始まっている可能性もある。
目の前の戦いに集中すべき時ではあるが、戦後の立ち回りも考えておかねばならない。

アリシアは、覚えておいて、と前置きした後に宣言する。
あたしはあんたが望んでくれる限り、これからもずっと傍にいる。
例え、世界中があたしたちを敵視したとしても。
だから、一人で全部抱え込まないで。
立ち止まりそうになったら、隣にいるあたしの手を取って。
あたしには行先は決められないけど、あんたを引っ張っておくことくらいはできるから。




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Last-modified: 2022-06-25 (土) 16:09:27